なんとなく格好よさげに(絶対違う
推敲無し。ただ一度の修正も無し。
なお、主役の女は金髪ツインテールが茶髪のサイドポニーかで迷うが、裏をかいて黒のぱっつんでも良いかもしれない。
落ちる(http://q.hatena.ne.jp/1231366704)からには飛ばねばなるまい!
劇中で「空を舞うシーン」の出てくるオリジナルの小説・漫画など創作物を募集します。
ならば創作だ。
引きは短く、右足で渾身の蹴りこみ。
小さいテイクバックからフォロースルーは最後まで。
反動を利用しての最大打力。無様なまでのアッパースイング。
誤差+-0.1mm。
打ち損じることなく、鈍い感触と共に、女のバットは男の棒球を粉砕した。
落ちることなく、重力を振り切り上昇していく様はそう、まさに飛翔と呼ぶに相応しい。
* * *
天高く飛び立つ男を見て、ただその女は哀しみしかなかった。
彼女とて、はじめからこうではなかった。
どのような女でも、少女と呼ばれた時代はあったのだ。
ただ、ほんの少し、イチロ●ーが走塁で転ぶ程度の事故があっただけなのだ。
* * *
彼女には幼馴染がいた。
熱く優しい男であり、紛れもなく彼女の王子だった。
当然のようなすったもんだの騒動(離れたりくっ付いたり)を繰り返し、付き合うようになったのは周囲よりも大分遅かった。
事故が起こったのは、それから半年も経たなかった。
彼女は彼がオタクだったことを知っていたし、ガンダムまでは容認した。
エロゲをしていたことにはドン引きしたが、それもしょうがないとは思ってはいた。
だが、いざ事始めとなった時に
「体はチ●コでできている」
と言った時に、全ては終わった。
「触手かよ!」と突っ込めばよかったのか、とは何度も思う。
その度に詮無きことだと嘆息する。
今更どうあっても事実は変わらない。彼女の華々しい通算記録の第1号は紛れも無く彼なのだ。
* * *
もはや条件反射の領域だった。呼吸するように数字を重ねていく。
オタク的な発言を耳にすると、たとえそれに対する知識がなくとも彼女のバットは狙いあたわず火を吹くのだ。
その数、生涯において実に666人。
単体でのオタクの飛ばし屋記録に上はいたが、その精密な打撃は伝説級ともっぱらの話だった。
その生涯も、終わった。
芸人が無神経に語ったオタク文化に魂を揺さぶられた彼女は収録現場に殴りこむ。負傷。致命傷を負いながらも、動かない左腕を捨て右腕のみで放った最後の打撃は、彼女がただの精密機械でなかったことを示した。
* * *
目を覚ますと懐かしい男の顔があった。
「ごめん・・・」
ようやくバットを手放せた彼女はようやく素直になれる。
宿命に身を焼く前の純真無垢だったあのころに。
「大丈夫、僕は知ってる」
自分を圏外まで吹っ飛ばした彼女に男は微笑んで許す。
ただ信頼の柔らかさがあった。
「男くん」
「そう、君は優しい人だ。ただ恥じらいが人一倍強かっただけ。僕は知ってる」
「男くぅん・・・!」
「だって・・・!」
「オタクに悪人はいないから」
* * *
その憎悪を自覚する。
怨嗟の、鬱屈した己の欲望を理解しながら、救わなかったこの男。
「許す」?何故。何故お前が許す側なのか。
手に再び金色が宿る。
それが彼女の魂の叫び。
棒球を砕くのではない。突き立てることこそが、彼女の望み。
濁った眼差しに、再び腐った想いが宿る。
死してなお、腐女子の魂死なず。
ならばそれは二度目の生だ。
* * *
天には、かつて飛ばしたオタクの群れ。
デブがいた。ガリがいた。無芸人がいた。
見た目普通リア充の似非がいた。百合好きの人もいた。
だがそれらはオタクなのだ。憎悪すべき醜悪なる邪悪なのだ。
白き翼を生やし天を舞うオタクを前に、ただ一人、地を這う腐女子は高らかにバットを掲げる。
――良いだろう。孤高のダービーの再演だ。
高らかに、まずは再び始まりの男を打ち上げた。