完全需要無視

駄文、一発ネタ+2006 06/13 [20:22]

 IEで、改行が反映されてなかったりで切れる。 信じられなん。 間を取る意味がほとんど消えてしまうではないか。
 ま、いいけどさ。 どーせ気ままに自分勝手やってるし。

 ということで、まぁた需要の無さそうなものを更新。

 鬼哭街って、うーん・・・・・・。  津々と、強酸の雨が降り注ぐ上海の夜。


  *   *   *


 廃屋にて二人の男が向かい合っている。

 一人はヒトとは思えぬ巨躯に圧迫するような存在感。 肩幅からして常人の3倍、極端な破壊力と重量を感じさせる体躯は、その男が力を誇示するのに十分な威容と言える。

 しかし、向かい合うもう一人の方が遥かに現実離れしていた。

 男は黒衣を纏った長身痩躯、虚ろな目、脱力したように生気を感じさせぬ四肢。 だが、その身からは、幽鬼じみた静かな、殺意。 手にした一刀は、見るものが見れば「倭刀」ということに気付くだろう。 刺突、斬撃をこなす玄人向けの武具。 そして、その刀は、男の殺意を完全に再現させていた。


 沈黙を破り口を開いたのは黒衣の男だった。


「・・・・・・久しぶりだな、樟賈寶(ジャン・ジャボウ)。 元気そうで嬉しいよ」

 寒気を通り越し、怖気を感じさせる笑みを浮かべて、男は言う。
 そう、その男は本当に、心底喜んでいるのだ。 この再会を。 殺す相手が、まだ自分の前で生きてくれていることを。

 向かい立つ巨漢には、もはや余裕など微塵も無い。 ただ、恐怖する。 目の前に現れた死神から目を逸らせず、逃げ出すことも出来ず、射竦められた蛙のように震えるだけ。

「なんでだ、アンタは死んだはずだっ!
 一年前に!マカオで! 豪軍に斬られて!!」
「生きているはずがない、生きているはずが無い!
 お前は・・・・・・、何だ!!?」

「紫電掌、孔濤羅(コン・タオロー)!!」


 もはや狂わんばかりの巨漢に哀れみと嘲笑の視線浴びせながら、

「あぁ、その通り。 俺はあの時マカオで死んださ。 貴様ら幇会の、愛すべき仲間たち5人による騙まし討ちでな」

 しかし、語りながらもそのことなぞはどうでもよい、と男は続ける。 そう、この殺意の生まれる元は、そんなことではない。

「なぁ樟。 一つ訊きたいんだが」

 僅かな間。 樟にとっては、これ以上は無い絶望の時間。

「瑞麗(ルイリー)がな、いないんだ」
「家にもいないし、連絡もつかない。 たった一人の大事な妹なんだ。 間違いでもあったら、唯一の肉親の俺は大変だ。 あぁ、可愛い瑞麗、俺の瑞麗。 今頃お腹を空かせてはいないだろうか。 悪い人に騙されてはいないだろうか。 あれほど家から出ちゃいけないって口煩く言ったのに、なんでいなくなってしまったんだろう」


 ・・・・・・知っている。 この男も、間違い無く知っている。 何があったのかを。 彼女がどうなってしまったのかも。 一言一言が凶器だ。 ただ、己が殺意を愛でる様に、一言一言紡いでいく。

 そして、

「お前は、もういないんだな・・・・・・。 瑞麗」
「ごめんな、瑞麗。 痛かっただろうな、悲しかったろうな。 ごめんな瑞麗。 守れなくて。 守ってやれなくて」
「剣の道に生き、兄貴らしいことなんて何一つしてやれなかったな。 そう、俺はただの剣鬼。 ・・・・・・せめて」

「――せめて、お前をそんなにした奴等だけは、俺の剣で殺さなきゃなっ!!!」
「・・・・・・ッ! うわぁぁぁあああっ!!!」


 殺意が、爆ぜる。


   *   *   *


 繰り出すは、規定を超えた超重量鉄鋼義手。 一発、いや、掠るだけでも即死は確定。 殺傷力過多の拳というよりは砲撃に近い打撃。

 しかし、

 当たらない。 当てられない。
 繰り出される文字通りの鉄拳は、巻きつくような倭刀によりあらぬ方向に外される。 戴天流内功剣「波濤任濤」柔を以って剛を制す、内家の技。

「う、ぉぉおおおおおっ!!」

 剣戟の火花を散らす事無く、次の手を封じていく孔の太刀。 樟は知っている。 手が詰まったときこそ、自分の最後。 アレにはサイボーグの天敵である紫電掌、そう「電磁発剄」がある・・・!


「どうした『金剛六臂』自慢の剛拳はその程度か」
「抵抗しろ。 もがき苦しめ。 貴様は安易には殺さん。 最後の最後、その瞬間までサイボーグの貴様には俺を殺す力があるぞ? さぁ粘れ。 腕が千切れ、足が捥げ、頭が削り落とされるまで戦い――」

「――絶望しろ。 貴様に道など無いことを知れ」
「ーーーっ!」

 もう、言葉を放つ余裕も無い。 左手が関節先から斬り飛ばされる。

「瑞麗がいる、貴様達が落とした地獄には断じて行かさん。 その魂、微塵も残さず滅(ころ)してやる」
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